日本人または永住者と結婚した外国人妻・外国人夫はまず配偶者ビザを取得します。約3年間、夫婦関係が良好で夫婦生活も順調であれば、外国人妻・外国人夫の配偶者ビザから永住権への変更、取得申請できます。配偶者ビザの永住権取得の条件は通常のビザの永住権取得の条件より緩和(優遇)され、簡単になります。※通常のビザの永住権を取得するために10年以上日本に滞在在留しなければならない。
永住権を取得するための条件の比較(違い)
比較する条件 | 配偶者ビザ | 通常のビザ(技術・人文知識・国際業務) | 定住者ビザ |
日本での滞在在留期間 | 3年以内 | 10年以上 | 5年以上 |
課税証明・納税証明 | 3年分 | 5年分 | 5年分 |
※日本人・永住者と結婚した外国人妻・外国人夫が配偶者ビザではなく、他のビザを持っていても、配偶者ビザと同じ条件で永住権を取得申請できます。
配偶者ビザから永住権を取得申請するための条件①②③④⑤⑥を解説します。
①実体を伴った婚姻生活が3年以上継続
実体を伴った婚姻生活とは、夫婦2人が同居し、お互い協力し扶助しあって、社会通念上の夫婦の共同生活を3年以上営むことです。つまり、書類上、法律上だけの形式的な婚姻関係が成立していても永住権を取得申請できません。
例えば、日本人(永住者)と結婚した外国人妻・外国人夫が配偶者ビザを取得し来日した後に、合理的な理由(単身赴任、海外出張など)も無く、すぐに日本人(永住者)と別居した場合は永住権を取得できません。
②直近1年間、引き続き日本に滞在在留
配偶者ビザ以外のビザ(技術・人文知識・国際業務、定住など)から永住権を取得するためには5年以上、10年以上日本に滞在在留しなければならない。永住権を取得申請するまでに、非常に長い期間(年数)を待たなければならない。
しかし、配偶者ビザは実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ直近1年間引き続き日本に滞在在留していれば、永住権を取得できます。配偶者ビザの永住権取得の期間(年数)条件はかなり緩和(優遇)されています。また、外国籍を持つ日本人の実子は直近1年間引き続き日本に滞在在留するだけで永住権を取得できます。
③在留カードに記載された在留期間が3年または5年
※上記①②③の条件を満たしている場合、配偶者ビザを持っていなくても永住権を取得申請できます。例えば、就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を持つ外国人会社員が職場の同僚日本人と結婚した場合、配偶者ビザを持っていなくても実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ直近1年間引き続き日本に滞在在留していれば、永住権を取得できます。
④安定した世帯収入がある
配偶者ビザから永住権を取得申請する場合、配偶者ビザの独立生計要件(独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること)を必要としないのですが、実務上においては、収入のある配偶者の課税証明書、納税証明書などを提出し、安定収入があることを立証証明しています。収入が少ないと永住権の審査が不許可になる可能性が高い。
⑤税金・年金・健康保険などの公的義務を遅れずに期限内に支払う
永住権を取得申請する時に直近2~3年間の税金・年金・健康保険料などの公的義務の支払い状況を審査されます。未納滞納、1日でも支払い遅れがあると永住権が不許可になります。永住権の審査は年々厳しくなっています。
日本人・永住者・外国人妻・外国人夫が会社員であれば、税金・年金・健康保険料は毎月の給与から天引き(特別徴収)されるので、未納滞納、支払い遅れはほぼ発生しないので問題ありません。
しかし、銀行・コンビニなどで自分で現金で支払っている人、自営業・会社経営者は十分に注意する必要があります。役所から税金・年金・健康保険料に関する支払い通知書を郵送されてきます。郵送されてきた支払い通知書に記載された支払期限を必ず守って支払いましょう。支払ったが1日2日遅くなった場合、永住不許可になります。また、会社経営者の場合、会社に関する税金(市民税・県民税・事業税・社会保険料など)も支払い期限を必ず守って支払いましょう。
⑥日本国の法令に違反していない
日本国の法令に違反して、懲役・禁錮・罰金に処せられたことがある者は永住権の取得申請はできません。ただし、日本国の法令に違反したことがある場合でも、下記に該当する者は永住権の取得申請できます。
刑の消滅とは:
□禁錮以上の刑の執行が終わった後、罰金以上の刑に処せられることなく10年を経過
□禁錮以上の刑の執行が免除された後、罰金以上の刑に処せられることなく10年を経過
□罰金以下の刑の執行が終わった後、罰金以上の刑に処せられることなく5年を経過
□罰金以下の刑の執行が免除された後、罰金以上の刑に処せられることなく5年を経過
□刑の免除が確定した後、罰金以上の刑に処せられることなく2年を経過
自動車の交通違反(スピード違反、信号無視、一時不停止、駐車違反など)にも十分注意しなければならない。直近2年で3回以上交通違反すると、永住権の審査は厳しくなり、不許可になる可能性が高い。
永住権の審査は年々厳しくなっています。当事務所は永住権の審査基準について、常に最新の情報を確認し対応しております。永住権を取得したい方は、申請時現在の審査基準に合わせて、しっかり準備していくことが重要です。
通常、永住権を取得申請する時に、「独立の生計を営むに足りる資産または技能」を有しなければならない。配偶者ビザから永住権を取得申請する場合は、この条件を必要としないのですが、実務上においては収入のある配偶者の課税証明書、納税証明書、給与明細などの資料を提出して、入管(出入国在留管理局)の審査を受けます。具体的に世帯収入がいくらあれば永住権を取得できるのかは公表されていませんが、下記の場合、永住権を取得できる可能性が高い。
●外国人妻は専業主婦の場合
※日本人夫の直近3年分の年収金額がすべて上記の年収金額を満たしていなければならない。専業主婦である外国人妻は日本人夫に扶養されているので、外国人妻のアルバイト収入は加算できません。
●外国人妻は会社員の場合
外国人妻が会社員として働き、年収約180万円あるとした場合、外国人妻は日本人夫に扶養されないので、外国人妻の年収は世帯収入として加算できます。上記で解説した外国人妻は専業主婦である場合、日本人夫の直近3年分の年収金額はすべて上記の年収金額を満たしていなければならなかったのですが、外国人妻は会社員で年収約180万円あり、日本人夫に扶養されないので、日本人夫の直近3年分の年収金額が250万円でも世帯収入は180万円+250万円=430万円あるので、永住権を取得申請できます。
配偶者ビザから永住権を取得すために、税金・年金・健康保険料などの公的義務を未納滞納が無く、そして支払期限を守って遅滞なく支払わなければならない。支払いが1日遅れただけても永住権の審査は不許可になります。
永住権を取得申請する時に、入管(出入国在留管理局)は直近2年~3年間の税金・年金・健康保険料の支払い状況を審査しますので、未納滞納そして支払い遅れが解消された日から起算して、2年~3年経過してから永住権を取得申請するのが良いでしょう。
入管は配偶者ビザを持つ外国人妻・外国人夫の税金・年金・健康保険料の支払い状況を審査するだけでなく、日本人・永住者の税金・年金・健康保険料の支払い状況も審査します。つまり、家族全員の支払い状況が審査の対象となります。
例えば、外国人妻・外国人夫が税金・年金・健康保険料を遅れずに適正に支払っていても、日本人・永住者が税金・年金・健康保険料を支払っていない場合、永住権は取得できません。逆に日本人・永住者が税金・年金・健康保険料を遅れずに適正に支払っていても、外国人妻・外国人夫が税金・年金・健康保険料を支払っていない場合も永住権は取得できません。
ですので、永住権を取得申請する前に夫婦で税金・年金・健康保険料の支払い状況をきちんと確認しなければならない。
日本人または永住者と結婚した外国人妻・外国人夫が配偶者ビザではなく、他のビザ(例:留学ビザ・就労ビザ:技術・人文知識・国際業務)を持っていても、日本人・永住者と実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ直近1年間引き続き日本に滞在在留している場合、配偶者ビザと同じように3年以内で永住権を取得申請できます。※入管によっては他のビザから配偶者ビザに変更してから永住権の取得申請を行うように指示される場合があります。
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2017年 宅地建物取引士
2020年 行政書士
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